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沖縄サバイバル400km回想記2016 その③

暑い。それにしても暑い。日中の日差しは去ったものの、風もほぼなく、湿度は相変わらず高い水準をキープしている。汗の量も減る兆しがない。これは昨年も経験済みだったが、やっぱり楽なものではない。不快だ。しかもただ不快なだけで済まされることではないことを徐々に思い知らされる。足のマメや股ずれなどは、風通しの悪さ、蒸れから主に発症するのだ。それももちろん経験済みのことなので、事前にテープを貼ったり、ワセリンを塗ったりして対策はしている。それでもワセリンは次第に汗と共に流れていってしまうので、こまめに塗り直さないといけない。案の定、海洋博公園の手前から、股ずれが気になり始めた。とにかく、序盤から腰回りに汗をたくさんかいていた。ダメージは蓄積されていたようだ。一旦止まってファスナーを下して、ワセリンを塗布する。みみず腫れの嫌な感触があった。痛みはそれほどではないものの、こいつが成長していったら厄介なのは明らかだ。そうならないよう祈る気持ちで進む。
 熱がこもっているせいか、呼吸が多少粗くなっていたので、海洋博公園通過後のコンビニ休憩で、腰までカトルスを脱皮する。脱いでいるといえば脱いでいるが、脱いでいないといえば、まだ完全には脱いでいない。苦渋の選択だが、残りの道のりを考えるとそろそろ強がってもいられなくなってきていた。心も体も多少軽くなって、気を取り直して夜の闇を進む。天底エイドを出て数キロ、国道58号線に合流するまで、羽地内海を左手に臨む最後の数キロは真っ暗な一本道が続く。不安になるような暗さだ。昨年は眠気も重なり、何度か歩き、立ち止まってしまったので、やたら長く感じた。58号線の灯りが見えてきたときにはホッとした。
 国道58号線までくれば、辺戸岬までは42kmだ。ここからは、青看板が親切に残りの距離を頻繁に教えてくれるのでペースがつかみやすい。時計を見ると、4時20分。セーフティーリードと思われる7時間はしっかり確保できているので、気持ちにも多少の余裕は生まれる。こまめにおにぎりを補給しながら、あまり休まずに進む。大宜味を過ぎたあたりで夜が明けてきた。夜とさよならするように、とあるバス停で、思い切ってカトルスからの脱皮を決めた。カトルスを脱ぐようだったらリタイアするのも同じだ!と威勢よく飛び出してきたものの、暑さで相当やられてしまったいま、もはや恥も外聞もない。完走のために覚悟を決めた。しかし脱いだからといって、劇的に楽になるはずもなく、厳しい闘いは続いた。股ずれもひりひり痛む。ただ、脱いだ分、ワセリンを塗りやすくなった。辺戸岬まで21km手前の、最北端のコンビニで補給する。確か8時ちょっと前だったと思う。途中何度か睡魔に襲われる瞬間があったので、58号線に入ってからの21kmを3時間半ほどかかってしまった。国頭の町を抜けるトンネルを出た所で、ハブの死骸と遭遇。昨年は一度もなかった光景に、改めて自分がいま沖縄を走っているという認識を新たにした。(その後この旅で5匹ほど死骸を見ることになった。)明るくなって、きれいな海岸線を左に見ながら、青看板の辺戸岬までのカウントダウンだけを楽しみに走る。ここまで、昨年よりも抑えて走ってきたにも関わらず、昨年以上の疲労感を感じる。誤算だ。しかも、昨年は辺戸岬まではちゃんとカトルスを着ていったというのに。この先、やばいんじゃないかという不安が駆け巡る。それを払しょくするためにも、辺戸岬でゆっくり休息してリセットしよう。別に足がやられたわけじゃないから、焦らなければまだ挽回は可能なはずだから。辺戸岬まで残りがひと桁になる。再びやる気が湧いてくる。早くごろんと横になりたい。気持ちはそれだけだ。最後の長いトンネルと登りをやっつけて、ようやくスタートから162km地点、第2CPの辺戸岬に到着した。時刻は10時44分。昨年より1時間20分ほど遅いけど、途中経過を考えると、まあ妥当なところだ。リタイアしたランナー達が僕を出迎えてくれる。もちろん、罵声とともに。カトルスを脱いだことを、両手を合わせ何度も謝罪する。絶対完走するから許してくださいと。とりあえず、オリオンビールを流し込み、仮眠。


つづく


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  1. 2016/11/26(土) 06:52:41|
  2. 歌うアスリート

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